仕事で世界へ!「グッと!地球便」から見る海外取材の裏側
2023.06.09
こんにちは、ディレクターの加藤です。
今回は16年にわたって放送中の「グッと!地球便」(毎週日曜あさ10時25分)で行っている海外取材についてお話します。

『グッと!地球便(以下:地球便)』という番組は、世界で頑張っている人にスポットを当て、日本から遠く離れた人に想いを届けるというハートウォーミングな内容です。これまでに95か所の国と地域に、のべ700回以上の取材を行っており、番組スタッフはいろいろな世界を見てきました。
例えば・・・
ボリビアのツアーコンダクターを取材した時に見た「ウユニ塩湖」(2013年5月放送)

南アフリカ共和国でチーターの保護活動をしている女性(2010年2月放送)

アラスカのツアーガイドを取材した時に見た犬ぞりとオーロラ(2010年3月放送)


これだけみると海外旅行が好きな人はただただ羨ましいと思いますよね。
もちろん、海外取材はとても楽しいものです。普段なかなか行けない場所も仕事だからこそ行けるというありがたい特典があります。
しかし!海外取材は楽しいだけではなく、トラブルもつきものです。
今回は実際に起きた"ちょっとした"トラブルをいくつかお伝えします。
そもそも海外取材ってスタッフ何人で行っているの?結構大人数なの?と思うかもしれませんが、答えは2人。ディレクターとカメラマンのみで、あとは現地のコーディネーターがいるだけです。
取材中はもちろん、往復の飛行機も朝昼晩の食事も、ちょっと一息つくときも、およそ1週間ずっと2人です。
ケンカしたら大変です。楽しいこともトラブル案件も全て2人で乗り越えます。言葉通り、苦楽をともにするパートナーって感じですね。

海外ロケあるあるとして、トランジット(乗り継ぎ)失敗はよくあります。
旅行会社のツアーじゃないので、現地の空港で片言の英語で対処するしかありません。
一日空港で足止めをくらったなんてディレクターもいれば、ロストバゲージでロケ中ずっと同じ服を着ていたディレクターも。

次の便まで3時間空いてしまったので、逆にゆっくり昼食。
私は雨男らしく、、、いつも天気に恵まれません。
オーストラリア・メルボルンで観光気球の操縦士を取材したことがあります。
メルボルンでは観光気球が名物となっており、早朝の、風が穏やかな時に気球を飛ばします。その様子を撮影するために現地までかかった時間はおよそ18時間!朝4時に起きて、準備も整え、いざ大空へ...!
と思いきや雨で飛べず...。次の日も雨。その次の日も...雨で中止。その次の日も。。。
晴れたのはなんと6日目。それまでずっと雨でした。
しかし、ようやく見つけた空の世界は、とても静かでおだやか。風と一体になったようななんとも言えない不思議な浮遊感で、時間がゆったり流れている最高の時間でした。
ロケは延長せざるを得なかったですが、ま、結果オーライですね。
オーストラリア・メルボルンで取材した気球操縦士(2022年7月放送)

ちなみに、雨男と思った事案はもう1件。
今年2月にハワイ島でアスレチックトレーナーの女性を取材した時は緊急速報が出るレベルの豪雨でした。

ハワイ島の観光ビーチ。どこがビーチ?って感じです。

大雨警報が発令され、スマホに緊急速報が流れました。直ちにロケを中断して屋内へ。
"恐怖"と言えば、南アフリカ共和国に取材に行ったディレクターの話があります。
野生のどうぶつたちを車に乗って間近で見るツアーをしている"サファリガイド"という超スリリングな仕事をする女性を取材した際、宿がテントのような簡易的なところだったそうですが、「夜は絶対に部屋から出るな」と言われていたそうです。
すると、3日目の夜。いきなり夜中に笛が鳴り響きました。何が起きたか分からないですが、絶対に部屋から出るな!との指示だったので、その通りに部屋からは出ずにじっとしていたそうです。
翌朝、何があったか確認すると、なんと宿にジャガーが入り込んできたんだとか。もしあの時部屋を出ていたら・・・。一歩間違えれば大変なことになっていた恐怖体験です。




(取材対象者の女性とサファリにいたライオン。実際に泊まったというテント)
また、"大変だった"という事案でいうと、コロナで中断されていた海外ロケがようやく解禁になって間もない2021年の年末。
コロナ禍でなかなか家族に会えない状態になってしまったご家族の想いと届け物を渡すためにアメリカに行ったディレクターの話です。
無事、取材が終わり帰国するのですが、日本に入国して待ち構えているのは2週間の隔離生活。
しかもその時期は12月末だったので、そのディレクターとカメラマンはアメリカから取材を終えたものの、年越しをホテルでの隔離生活で過ごすことになってしまいました。
もちろんそれも覚悟の上で取材を行ったのですが、なんともさみしい年末年始。。。
ディレクターはもちろん、カメラマンにも覚悟がないと決行できない取材です。

そんな地球便ですが、番組史上最も大変だったと伝説になっているのが、2010年6月に放送したフィンランドの取材です。
フェルトデザイナーとして奮闘する女性がおり、北欧デザインの美しい服や食器を撮影したり、フィンランド発祥のサウナを森の中で体験したりと、最高の経験をした後に悲劇は起こりました。
なんと、取材中に近国のアイスランドの火山が噴火したのです。
(エイヤフィヤトラヨークトルの2010年の噴火)
火山灰が瞬く間にヨーロッパ中に広がり、多くの空港が閉鎖されてしまいました。
最初は1日ぐらい観光できるからいっかぁと思っていたそうですが、次の日も次の日も次の日も空港は再開されなかったそうです。
次の仕事も迫っていたのでなんとかして帰国したいと思ったディレクターは、ヨーロッパからの脱出を決行!寝台列車を乗り継ぎ、今や簡単に入ることが困難なロシアへ!わざわざそのためにビザまで取得し、モスクワの空港から帰ったそうです。


1週間ほど空港は閉鎖されていたそうなので、ディレクターの英断でしたね。
他にも、「泊まっていたホテルに強盗が入ってきた」とか、「コーディネーターにお金を要求された」とか、いろいろなディレクターが様々なびっくり体験をしています。
そんな"ちょっとした"困難を乗り越えながら、これからも皆様に素敵な海外の映像と、頑張っている人たちの物語をお届け出来たらと思います!
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